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中毒?? [治療]

小春どうぶつ病院 院長です。

今日はただいま入院中のネコちゃんのご紹介です

bukko.jpg顔はきれいにふき取られました。ぐったりです。

「ブッコ ちゃん」は先週の日曜日からちょうど1週間入院しています。

火曜日にご自宅のお庭に「駆虫薬」をまいて、水曜日から様子がおかしいということでした。

日曜日に来院されたときにはかなり状態が悪く、努力性呼吸・膿性眼脂・膿性鼻汁・結膜腫脹・結膜発赤・重度脱水・流涎  という状態で

血液検査で 「貧血」 「肝酵素の上昇」 「電解質の低下」 「黄疸」が認められました。

「脱水」が重度である事や、状況から「中毒」が強く疑われたため入院としてお預かりしました。

bukko3.jpg

鼻が完全につまり、流涎も激しいため開口呼吸になっています。おそらく気管内分泌液も出てきているのでしょう。

来院されるまでの5日間は何も食べていない(呼吸状態がすこぶる悪いので、これでは食べられないでしょう)ということから、点滴を数時間した後に「強制給餌」を行うことにしました。

ただし、呼吸状態が悪いため、無理をすると危険であることから酸素吸入後に「経鼻カテーテル」から「流動食」を直接胃に流し込む方法をとりました。

bukko5.jpg酸素吸入中です

bukko6.jpg経鼻カテーテルを入れられています。

bukko7.jpgbukko13.jpg

 経鼻カテーテルから流動食を入れられています。

具合が悪いためほとんど無抵抗に治療を受け入れてしまう状態です。

翌日には「点滴」のかいもあって、「脱水」はなくなっていましたが、

「貧血」の値は結構なものでした。

もともと「重度の脱水」のため「貧血」の値は悪化することが予想されていましたが、想像以上に血液が減少していました。

「血液塗抹」(血液を染色して直接顕微鏡で検査する方法)で血液を観察すると、赤血球がかなり弱そうなものが多く、「溶血」(赤血球が壊れること)が体内で起こっている可能性が強く考えられました。

同時に「血小板」という血液成分が減少し、ほとんど観察されなくなっていたため「播種性血管内凝固(DIC)」状態になり始めている可能性が考えられたためそちらの治療も平行して開始です。

貧血が危険な域にまで進行していることからオーナー様との相談の結果「輸血」を行うことになりました。

今回「供血」に協力してくれたのはスタッフのおうちの「高橋 シエラ ちゃん」です。

siera.jpg

30cc血液をいただきました。

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「貧血」と「呼吸困難」のため「簡易酸素室」を間に合わせですが作りました。

bukko12.jpg

「輸血」と「強制給餌」のかいあってか、翌日からは貧血の値は改善傾向が見られたものの、今度は「胸水」と「腹水」が貯留し始めてしました。

「胸水」を穿刺除去し、性状を調べた結果

原因ははっきりしませんが、血液中の「電解質」が下がってしまったため「浸透圧」の関係から貯留が始まってしまったものと思われました。

「点滴」の液を「濃い」ものに変えて1日、胸水の貯留は見られなくなり、腹水も段々と吸収され始めました。

今では徐々に状態も安定してきており、「貧血」の改善、呼吸状態の安定から酸素室はやめて点滴と注射治療のみになりました。

ただ、いまだにご飯は食べる気力はなく、注射の切れる頃には「流涎」も激しいままです。

bukko14.jpgbukko15.jpg

今回オーナー様が使用した駆虫剤は2種類あり、どちらも有機リン系のお薬で「ダイアジノン」というものともう一種類です。

これは「劇物」指定のものですので、かなり強力なものになりますが、ホームセンターなどで気軽に手に入る駆虫薬でも量を接種すれば「中毒」として起こる症状は同じです。

駆虫薬ではなくても「除草剤」などでもクスリの種類や摂取量によっては「中毒」を起こしてしまいます。

近年、動物を変われる方の意識の高まりとともに「危険」な薬物の散布は減ってきました。

しかし、場所と時期によっては「除草剤」「駆虫剤」が散布されているところもあります。

最も恐ろしいものは「鼠駆除剤」です。

同じ哺乳類を「殺す」ためのお薬ですから。

お散歩する「ワンちゃん」やお外に行く「ネコちゃん」では常にこれらの薬物と接触する危険があることを覚えておいて頂き、安全が確認できない場所では「ノーリード」でフリーにお散歩させないことや、ネコちゃんであれば室内飼にすることなどで未然に「中毒」を防ぐ努力をしましょう。

長文になってしまいました…。

まだ入院治療が必要な「ブッコ ちゃん」

早くおうちに帰れるように応援してあげて下さい。

 


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