膀胱炎?? [治療]
お久しぶりです。
小春どうぶつ病院 院長です
今日は激しく雨が降っています。
こんな日は外出しようという気が起きてきませんねぇ。
今回はモルモットの「チョコ ちゃん」をご紹介します。
チョコちゃんは排尿時に痛がって鳴くということで来院されました。
圧迫排尿でおしっこを出してみたところ
膿が出てきました。
確かにおしっこするときには痛いのではないかと思います。
レントゲンでは異常は見られませんでしたが超音波検査では膀胱の粘膜がはれていることが確認できました。
検査の後、お腹が痛くなってしまい食欲がなくなって便も出なくなってしまいました。
一時は心配もしましたが、オーナー様の献身的な介護と痛み止めの注射の効果で今では食欲も戻り、便もよく出ています。
ただ、排尿時の痛みはまだ続いているようです。
モルモットさんはワンちゃんやネコちゃんと比べて膿んだところを治す力が弱いため
抗生物質の投与が長期間に及んだり、一生やめられないケースがあることをお伝えし、
しばらくは抗生剤をがんばっていくことになりました。
今、投薬している抗生剤がよくきいてしっかり治っていけるといいなぁと期待しています。
流行?? [治療]
なんだか今年は気温がおかしかったせいなのか??
当院では今「ネコ下部尿路疾患」が流行っています。
通常は寒い時期にネコちゃんがなかなかトイレに行かなかったり
お水を飲む量が減ったりすることで起こりやすくなるのですが
時期外れに今年は増えているみたいです。
今日は代表して『支那そば屋 三馬店』の「くろまつ ちゃん」をご紹介します。
くろまつ ちゃんは5月5日の夜間にペニスから血がたれているという事で来院されました
身体検査で「畜尿」が大量であったことと血尿であることから尿検査を実施しました。
結果、ペニスの周りには砂のような「尿結晶」成分が付着しており、
それは「ストルバイト」と呼ばれる尿結石の結晶成分でした。
これは違うネコちゃんのおしっこに見られた「ストルバイト」結晶です。
見事ですね
尿自体は「血」のような「血尿」でおそらくは結晶成分がペニスにつまり、
「排尿」が上手く行われていなかったものと思われます。
念のためにレントゲンを撮影したところ
膀胱内に大量の結晶成分がたまっていることが確認されたため
膀胱の下のほうにうっすらと「白色」が濃いラインが入っているのが「結晶」です
当日はカテーテル排尿 → 膀胱洗浄を行って注射をして帰宅しました。
翌日も調子が悪いとのことで来院され、同様の処置を行っていきましたが、
血尿がひどいため翌日も調子が悪ければ入院治療をしましょうという事で
オーナー様とお話し合いをしました。
翌日も調子が悪かったことから、血液検査を行い(結果は腎後性腎不全 腎臓の値は測れないところまで上昇していました。)
「尿カテーテル留置」「点滴」をすることになりました。
尿カテーテルが入っています。
点滴と尿道カテーテルのかいあって、1日後にはご飯を食べ始め、
2日後には腎臓の値は正常値まで下がってきました。
ただ、いまだに血尿は濃いのでオーナー様と話し合いながら
もうしばらくの入院生活を送ることになりそうです。
バッグにたまった「尿」です。
薄くなってきましたがまだまだ「血尿」です。
今回流行っている「ストルバイト」
これはほとんどが「体質」によるものですが、食べるものにも左右されてしまいます。
なるべく信頼できるメーカーの信頼できるフードを食べさせるようにしましょう。
なんでもそうですが、治療は早期発見早期治療のほうが治りも早く
つらい思いをする時間が少なくて済みます。
ネコちゃんのトイレの様子をよく観察して頂いて
異常があったときは早めに獣医さんに見てもらいましょう。
続・中毒?? [治療]
小春どうぶつ病院 院長です。
今日は先日紹介した「ブッコ ちゃん」についての続報です。
ブッコちゃんは輸血後快方に向かっており、「退院後」の管理について
オーナー様とお話をしてたのですが、入院10日くらいからまた「ぶり返し」がきてしまい
いまだ長期入院中です。
一番ひどかった状態からは良くなってきたものの舌も潰瘍状になり喉の奥も真っ赤に腫れています。
「有機リン中毒」は摂取後に急性に状態が悪化し、
その後2週間くらいで「ぶり返し」が来るケースがあるようで、今回はそのケースにあたると考えられました。
「解毒剤」もあるのですが、摂取後24時間以内に使用するのが最も効果的で、クスリの種類にもよりますが、48時間を過ぎるとあまり効果が無いことが多いのです。
ただし、48時間が過ぎても使用することによって食欲が回復する「ネコ」がいるという報告があったこと、
「ぶり返し」が来ている可能性が考えられることから解毒剤を使用してみました。
同時に再度行った血液検査の結果や、レントゲンの所見から「膵炎」も疑われたため、同時に「膵炎」の治療も開始しました。
治療追加二日後、元気が戻ってきて、流涎も量も減ってきたので、
体に殺虫剤が付着している可能性もあることから2度目のシャンプーを行いました。
輸血後に調子が戻ってきたすぐにも一度洗っているのですが、
今回も念入りに頭の先から尻尾の先までしっかり洗い流しました。
シャンプー前は眼の「結膜」が腫れ上がってしまい、特に左目は開かないくらいの状態でしたが、シャンプー数時間後にはパッチリと開いています。
体に付着していたものが残っていたのか、再び体から染み出してきていたのか
「薬」というものは怖いものだと感じます。
調子が戻り始めて3日
今日はとても調子がいいのか投薬のためにお部屋から出すとスタスタと歩いていってしまいました。
段々と上がり調子なので、後は自分でご飯を食べられるようになればお家に帰れるのではないかと期待しています。
喉の痛み次第なのかもしれませんが、
がんばってもらいたいです。
中毒?? [治療]
小春どうぶつ病院 院長です。
今日はただいま入院中のネコちゃんのご紹介です
「ブッコ ちゃん」は先週の日曜日からちょうど1週間入院しています。
火曜日にご自宅のお庭に「駆虫薬」をまいて、水曜日から様子がおかしいということでした。
日曜日に来院されたときにはかなり状態が悪く、努力性呼吸・膿性眼脂・膿性鼻汁・結膜腫脹・結膜発赤・重度脱水・流涎 という状態で
血液検査で 「貧血」 「肝酵素の上昇」 「電解質の低下」 「黄疸」が認められました。
「脱水」が重度である事や、状況から「中毒」が強く疑われたため入院としてお預かりしました。
鼻が完全につまり、流涎も激しいため開口呼吸になっています。おそらく気管内分泌液も出てきているのでしょう。
来院されるまでの5日間は何も食べていない(呼吸状態がすこぶる悪いので、これでは食べられないでしょう)ということから、点滴を数時間した後に「強制給餌」を行うことにしました。
ただし、呼吸状態が悪いため、無理をすると危険であることから酸素吸入後に「経鼻カテーテル」から「流動食」を直接胃に流し込む方法をとりました。
経鼻カテーテルから流動食を入れられています。
具合が悪いためほとんど無抵抗に治療を受け入れてしまう状態です。
翌日には「点滴」のかいもあって、「脱水」はなくなっていましたが、
「貧血」の値は結構なものでした。
もともと「重度の脱水」のため「貧血」の値は悪化することが予想されていましたが、想像以上に血液が減少していました。
「血液塗抹」(血液を染色して直接顕微鏡で検査する方法)で血液を観察すると、赤血球がかなり弱そうなものが多く、「溶血」(赤血球が壊れること)が体内で起こっている可能性が強く考えられました。
同時に「血小板」という血液成分が減少し、ほとんど観察されなくなっていたため「播種性血管内凝固(DIC)」状態になり始めている可能性が考えられたためそちらの治療も平行して開始です。
貧血が危険な域にまで進行していることからオーナー様との相談の結果「輸血」を行うことになりました。
今回「供血」に協力してくれたのはスタッフのおうちの「高橋 シエラ ちゃん」です。
30cc血液をいただきました。
「貧血」と「呼吸困難」のため「簡易酸素室」を間に合わせですが作りました。
「輸血」と「強制給餌」のかいあってか、翌日からは貧血の値は改善傾向が見られたものの、今度は「胸水」と「腹水」が貯留し始めてしました。
「胸水」を穿刺除去し、性状を調べた結果
原因ははっきりしませんが、血液中の「電解質」が下がってしまったため「浸透圧」の関係から貯留が始まってしまったものと思われました。
「点滴」の液を「濃い」ものに変えて1日、胸水の貯留は見られなくなり、腹水も段々と吸収され始めました。
今では徐々に状態も安定してきており、「貧血」の改善、呼吸状態の安定から酸素室はやめて点滴と注射治療のみになりました。
ただ、いまだにご飯は食べる気力はなく、注射の切れる頃には「流涎」も激しいままです。
今回オーナー様が使用した駆虫剤は2種類あり、どちらも有機リン系のお薬で「ダイアジノン」というものともう一種類です。
これは「劇物」指定のものですので、かなり強力なものになりますが、ホームセンターなどで気軽に手に入る駆虫薬でも量を接種すれば「中毒」として起こる症状は同じです。
駆虫薬ではなくても「除草剤」などでもクスリの種類や摂取量によっては「中毒」を起こしてしまいます。
近年、動物を変われる方の意識の高まりとともに「危険」な薬物の散布は減ってきました。
しかし、場所と時期によっては「除草剤」や「駆虫剤」が散布されているところもあります。
最も恐ろしいものは「鼠駆除剤」です。
同じ哺乳類を「殺す」ためのお薬ですから。
お散歩する「ワンちゃん」やお外に行く「ネコちゃん」では常にこれらの薬物と接触する危険があることを覚えておいて頂き、安全が確認できない場所では「ノーリード」でフリーにお散歩させないことや、ネコちゃんであれば室内飼いにすることなどで未然に「中毒」を防ぐ努力をしましょう。
長文になってしまいました…。
まだ入院治療が必要な「ブッコ ちゃん」
早くおうちに帰れるように応援してあげて下さい。
慢性腎不全と猫生活 [治療]
小春どうぶつ病院 院長です。
今日はトラ猫の「シマ ちゃん」をご紹介したいと思います。
待合室の様子 「キョロキョロ」といろんなものを観察しています。
「シマ ちゃん」は19歳のネコちゃんで『食欲不振』と『貧血』を主訴に来院されました。
オーナー様がこれまでの『血液検査』の結果をお持ちいただいたため、これまでの経過を詳しく知ることができました。
来院初日は身体検査上、「重度の脱水」が認められましたが、「貧血」という所見は見られませんでしたので、血液の検査を実施しました。
結果は前回(半年前)のデーターよりも腎不全が進んでいました。
血液検査の結果だけで考えれば「入院点滴」治療の適応なのですが、高齢ということと「外泊」が苦手であるということを考慮し、オーナー様との相談の結果「通院」+「皮下補液」で治療を進めていくことになりました。
ただし、「脱水」が生命の危険に及ぶほど重度であることや、血液検査のデーターから連日通院してもらいました。
治療中 「うむっ」っと我慢していますが、「涙が出ちゃう」ので優しいお母さんに拭いてもらっています。
「皮下補液」としてはかなり大目の量を注射した1日後には「ご飯を食べるようになった」
と言うことでオーナー様も喜んでおられました。
3日間連日注射をしたところで採食量も増え、元気も出できたのでこれからは定期的(最低でも週に2回)に「皮下補液」に通院することにしてとりあえずの治療終了としました。
その後も定期的に通院され、一時期は減少していた体重も増加はしないものの現状維持されています。
時間を割いて高頻度「動物病院」に通うオーナー様の努力の賜物です。
慢性腎不全は高齢のネコちゃんでは多い病気です。
ほぼ全てのと言ってもいいくらいのネコちゃんは高齢になると多かれ少なかれ「腎臓」の機能が下がってきます。
腎臓の細胞が再生能力を持たない為、一度下がった腎機能は元には戻りません。
したがって、残った腎機能で今後は状態を維持していかなくてはなりません。
それにはオーナー様のご理解や、ご協力が欠かせません。
この病気のネコちゃんを抱える飼い主さんの献身さには毎回頭が下がるような思いを抱きます。
少しでもネコちゃんの体を楽にしてあげる手助けができたらなぁと思います。
椎間板ヘルニア [治療]
小春どうぶつ病院 院長です
4月末だというのに何か寒いですね。
今年の天気はなんだかちょっと変な感じです。
今日は先日より「椎間板ヘルニア」の治療に通院中の「ベル ちゃん」
をご紹介したいと思います。
近年「ミニチュアダックスフンド」が人気になり、飼育頭数が増えたこともあって、「椎間板ヘルニア」は一気に身近な病気になりました。
病態は「軽い」ものから「重い」ものまでさまざまです。
「ベル ちゃん」は夜間に「痛くて辛そう」と言うことで来院されました。
腰はかなり痛そうでした。
幸いにも「ヘルニア」の症状としては軽く、歩けはしないものの足の感覚は残っている様子でしたので、オーナー様との相談の結果、「内科」療法で治療を進めることになりました。
今回は即効性の高い「水溶性のステロイド剤」を血管に注射する「ステロイドパルス療法」を行うことにしました。
経過は良好で、1週間後には歩けるようになり、2週間後にはジャンプができるようになっていました。
ただし、「椎間板ヘルニア」のこのステージでは「内科」療法で80~90%治るものの
再発率が高いというデーターがあります。
「生活環境の改善」が必要ですね。
抱っこの仕方から床材まで
とにかく気をつけなければならないことが沢山あるので、
ベルちゃんが新しい生活に慣れるまで、いろいろ気苦労があると思いますががんばっていただきたいと思います。
今日は腰の状態も落ち着いてきたので
オーナー様の切望していた「トリミング」です。
きれいになりました。
ニャンチ ちゃん [治療]
小春どうぶつ病院 院長です
個人的にちょっとうれしいニュースです。
先日までフォークリフトに轢かれたネコの「ニャンチ ちゃん」が入院していたのですが、
そのネコちゃんが術後の抜糸に来ました。
元気そうで体重も増えていたので安堵しました。
初めてきた時は
顔面裂傷(顔が二つに割れてしまうくらいで鼻も斜めに裂かれて額の骨も切れていました)
顎の骨折
左前肢開放骨折(骨が飛び出している状態)
すべての創面が化膿して膿みだらけ(飛び出した骨も感染してしまっていました)
軽度~中程度の貧血
という状態でした。
痛みとショックからだと思いますが、現場から逃げ出してしまい3日後に保護されての来院でした。
創面の化膿がひどかったことと一般状態が悪かったこともあり、
1週間入院して点滴や、抗生物質の注射、創面の洗浄を行い、自力で菜食できるようになったため
手術をしました。
顔が縫い合わされたおかげでネコの顔に戻りました。
3箇所それぞれ重症の手術だったため麻酔時間もそれなりに長かったのですが、
がんばってくれました。
退院前には口もしっかりあくようになり
食欲は旺盛。
貧血はあるものの
帰宅しても大丈夫だということで退院していきました。
合計で2週間ちょっとの入院生活となりました。
朝も夜も顔をあわせていたのでいなくなると少し寂しかったのですが
元気な姿が見れてホッとしました。
鼻の先のほうの傷口はもう少し抜糸まで時間がかかりそうですがあと4,5日もすれば抜糸できそうです。
ネコちゃんは交通事故などの時、とっさに逃げるのが下手な動物だといわれています。
外に行く猫ちゃんには常に交通事故の危険が潜んでいますのでご注意下さい。
特に虚勢手術をしていない男の子は行動範囲が広く事故率も高いです。
4月と5月の間は男の子の虚勢手術にも金沢市から「助成金」がでます。(ネコちゃんのみ)
申請書類も当院でご用意していますのでご来院時やお電話でお気軽にお尋ね下さい。